『埼玉新聞』2007年2月15日付

県立大学 医療高度化へ大学院
09年度新設 福祉との連携も対応


県は二〇〇九年度から、県立大学(越谷市三野宮)内に「保健医療福祉学研究科(仮称)」の大学院を開設する方針を決めた。高度化が進む医療技術や福祉の現場との連携に対応するため、学生が病院の経営管理、リハビリ技術などの専門知識を習得するのが目的。また現役看護師らが、同大学院に入学し学習できるようにするカレント教育の場にしようと、長期履修制度の導入も検討している。

同大や県保健医療政策課によると、大学院は修士課程で〔1〕看護学〔2〕理学療法学・作業療法学〔3〕健康行動福祉学の各コース。看護管理や地域包括ケアのマネジメント能力などをそれぞれ研究する。学生計二十人を受け入れるが、コースごとの人数は定めない。同課は「多様な職種の医療現場を束ねたり、病院内の経営へ参画したりできる人材を育てたい」と説明する。

教員は同大教員が兼務。研究室なども既存の大学施設を活用する。一方で社会人の学生が通学しやすいよう、県内にサテライトキャンパスを設ける。

長期履修は通常二年間の過程を三―四年間かけて学ぶ制度。土曜、昼夜間の開講とともに組み入れる意向だ。

県は現行の大学教員が、大学院の研究指導教員と研究指導補助教員の審査要件を満たすかを評価する業務委託費五百万円と、大学院の設置認可申請に必要な情報収集の経費百二十万円の計六百二十万円を新年度当初予算案に盛り込んだ。手続きが順調に進めば〇八年六月に文部科学省へ設置の認可を申請する。

県立大学は保健医療福祉の専門職などの育成を掲げ、一九九九年に開学。昨年四月には短期大学部と保健医療福祉学部を統合、再編して健康開発学科を置いた。看護、理学療法など五学科からなり、新年度の定数は千二百三十人。