『陸奥新報』2007年2月8日付

弘大の経済効果、地元弘前は47億円
05年度試算 「一層の共存」図る


 弘前大学(遠藤正彦学長)は、205年度の弘大の経済波及効果を419億8400万円と試算した。これは弘大の支出決算額と研究助成金となる科学研究費補助金などに加え、学生生活費と院外処方薬剤費を推定しはじき出した。このうち、地元弘前市への経済効果は、支出決算額における支出契約金44億8700万円と科学研究費補助金における支出契約金2億2800万円を合わせ、47億1500万円に上った。

弘大の05年度収入決算額は356億7100万円、支出決算額は345億6千万円(繰越金は11億1400万円)。波及効果額は支出決算額と、国からの研究助成金となる科学研究費補助金など3億7千万円、学生生活実態調査(02年度調査)を参考に学生・大学院生6792人の支出額を試算した学生生活費68億3500万円、同じく試算した付属病院での院外処方薬剤費2億1900万円を合わせて算出した。

本社が弘前市にある事業所との契約行為を伴う支出契約金は44億8700万円。支出契約金の総額は127億8700万円で、弘前市は約35%を占めた。主な契約内容は、医療用材料や研究用消耗品など物件費が35億6100万円。今春弘大が公表した04年度の同市での支出契約金と比較し、05年度は1350万円増となったが、占有率は弘大の支出額増により低下した。

また、国が独創的・先進的な研究などを助成する科学研究費補助金のうち、物品と役務費2億9700万円の区域別支出契約金額は、弘前市が2億2800万円で全体の約77%を占めた。これらを合わせ、弘前市における経済効果は約47億円に上る。

弘大は今年度、弘前市や県と包括的な協定を締結。今回財政的な貢献の一端を示した上で、人材育成や知識の発信など、一層の共存を図る。財務・施設担当理事の小川清四郎副学長は「地元弘前市民に誇りに思ってもらえる弘大でありたい。そのためには地元事業所と互いに努力し、長い付き合いをしたい」と話した。