『陸奥新報』2007年2月8日付

弥生リゾート跡地利用、弘大と市が共同研究
自然、防災面で検討 意見集約の在り方も


岩木山弥生リゾート跡地の活用策をめぐり、弘前市の相馬区●一市長(●は金へんに昌)は7日、弥生地区の自然、防災安全面に関する客観的、学術的な技術の整理や市民意見の集約方法などを検討するため、2007年度に弘前大学との共同研究を検討していることを明らかにした。市長は「今後の議論の出発点になる」と位置付けており、同地区の自然体験型拠点施設整備事業を中止した相馬市政が、大型箱もの整備に代わる跡地対策に向けて動きだす。

弥生リゾート跡地は、かつてスキー場を中心とする開発が計画されていたが、事業頓挫で第3セクター弘前リゾート開発(清算中)が解散後、筆頭株主の旧弘前市が土地などの資産を約5億9千万円で買収。跡地活用策として、18億円余を投じる自然体験型拠点施設計画を打ち出した。

しかし、市町村合併に伴う昨年4月の弘前市長選で跡地利用策が争点の1つとなり、拠点施設計画中止を公約した相馬氏が初当選。公約通りに計画を中止し、2006年度予算に関連予算は盛り込まなかった。今後の整備については「広く市民の意見を聴きながら対応する。大型箱もの整備は行わない」としてきた。

7日の定例会見で相馬市長は「基本的な方針は市民の意見を聴き、今後の方向を定めたい。選挙公約通り自然に近い姿でやる必要がある」と改めて表明。整備の具体的な検討には「市民懇談会設置などを頭に描いている」と述べ、運営に当たっては「外部の視点や透明性を確保しなければならない」と強調した。

その手法を検討するため、新年度に弘前大学との共同研究実施を視野に入れていることを明らかにし「大学の知識や手法を活用し、弥生地区の自然、歴史、防災、安全などに関する客観的、学術的な整理や市民らの意見を幅広く引き出す手法を検討したい」と語った。

共同研究の内容を踏まえて市民の意見を聴く場を設けていく考えで、相馬市長は「(共同研究が)今後の議論の出発点となる」と強調した。

リゾート跡地には貯水池などがあるため「あのまま放置するわけにはいかない」とし当面は入り口に進入禁止の看板やバリケードを設置するなどし、安全対策を講じていく考えだ。跡地利用策をめぐる市と弘大との共同研究について、市民団体の「弥生スキー場跡地問題を考える市民ネットワーク」の竹浪純事務局長は「非常に面白い発想。専門家や市民の意見を広く取り入れながら対応するよう期待しており、今後の取り組みを見守りたい」と話している。