『読売新聞』2007年2月6日付

文科相が教委に是正勧告 いじめ不対応などの場合


政府の教育再生会議は5日、都内で第1分科会(学校再生)を開き、教育委員会の抜本改革について集中的に議論を行った。法令違反や著しく適正を欠く対応を取った教委に対し、文部科学相が是正勧告や是正指示を行えるよう求めた素案を了承した。

近く開く総会で素案を決定し、今国会に提出される予定の地方教育行政法改正案に盛り込むことを安倍首相に求める方針だ。

素案では、国と教委の関係について、学校現場や教委に権限を移譲する「地方分権の考え方が基本」としながらも、現在、指導・助言・援助などに限られている文科相の教委に対する権限について、是正勧告や是正指示の権限を付与するよう求めている。

分科会後、記者会見した小野元之委員は「(是正勧告権は)伝家の宝刀としては必要」と強調した。また、白石真澄委員は是正勧告・指示を行う例として、「教委がいじめへの対応を取っていないとか、いじめに関する調査を怠っていること、教えるべき内容を教えていないこと」などのケースを挙げた。

教委制度では、2000年施行の地方分権一括法によって、文科相による都道府県教育長の任命承認権や、教委への是正要求権が撤廃された経緯がある。しかし、昨年全国で相次いだ必修逃れや、いじめによる自殺に対する教委の不適切な対応など、「本当の有事の際に、国が見守るしかないのが現状だ」(義家弘介・再生会議担当室長)などの意見が相次ぎ、国の権限を強化する方向での見直しの機運が高まっていた。