『中日新聞』2007年2月6日付

固定資産税を全額減免
松本市、信大構内の神社は「宗教施設」


信州大旭キャンパスにある神社の土地約130平方メートルに課した固定資産税について、松本市が信大側の減免申請を審査した結果、全額減免したことがわかった。市税条例に定めた減免要件の「宗教法人に準ずる神社、仏閣等の宗教施設」に該当すると判断した。

この土地をめぐっては、市内の元大学教授が「市は課税を怠っている」として市監査委員に監査請求した。市は2006年12月、信大以外の任意団体が使っていると判断、地方税法が改正された05年度にさかのぼって課税し、大学側が減免を申請していた。

これに関連し、元教授が「構内に神社があるのは憲法の政教分離原則に反する」と移転などを求めた訴訟では、04年に元教授の敗訴が確定したが、東京高裁は判決で「神社を存置している国や大学の姿勢は憲法の精神に反する」と批判した。

神社の維持管理や祭事は信大の出入り業者などで組織する「杏蔭会」が担っており、信大側は移転に向け杏蔭会と検討する考えを示している。

国立大が所有する固定資産は非課税だったが、国立大の法人化に伴う04年の地方税法改正で、大学法人が使っている土地・建物以外は固定資産税を05年度分から課税できるようになった。 (赤川肇)