『北海道新聞』2007年1月31日付

北大内の企業育成施設 今秋に着工 20社が入居


独立行政法人の中小企業基盤整備機構が、北大北キャンパス(札幌市北区)内に建設するベンチャー企業育成を目的とした「大学連携型インキュベーション施設」の概要が三十日、分かった。二○○七年秋に着工し、○八年の完成後は既存の道内インキュベーション施設では最大規模の二十社程度が入居する予定。土地を提供する北大では、道と札幌市、道経連との産学官連携で、この育成施設を道内経済発展の拠点としたい構想だ。

インキュベーションとは、孵化(ふか)の意味。北大から土地の提供を受けた中小企業基盤整備機構が、約六億円をかけて千九百平方メートルの施設を建設する。完成後は、道と札幌市が入居する企業の家賃の一部を負担するほか、起業を支援する専門職員を配置する。

北大構内の北一八条以北に位置する北キャンパスは各種研究施設の集約化が進んでおり、新年度はインキュベーション施設のほか、人獣共通感染症リサーチセンター(○七年度完成)や、北大と塩野義製薬(大阪)による共同研究施設(○七年度完成)、電子科学研究棟(○八年度完成)などの建設が進められる予定だ。

北大では糖鎖工学などの先端技術を生かした新薬開発をはじめ、情報技術(IT)分野やナノメートル(ナノは十億分の一)レベルの素材を使ったバイオ分野の研究などが盛ん。インキュベーション施設では、こうした分野の企業群育成を目指す。