『京都新聞』2007年1月29日付

「病院助手」ポスト新設 京都府立医大 府北部の医師不足解消へ


京都府は北部を中心とする医師不足に対応するため、府立医科大(京都市上京区)に新たに20人の「病院助手」ポストを新設することを決めた。不足地域の病院への派遣を前提に、経験10年前後の中堅医師を確保する狙い。学生や研修医向けの奨学金も創設し、一定期間の北部勤務で返済を免除する仕組みも導入する。あの手この手で、医療の地域格差解消を目指す構えだ。

府が新年度当初予算案に医師確保対策として総額6億3000万円を盛り込んだ。

府の「医師バンク」を充実するため、府立医大に「病院助手」を創設。大学の中で、助手と専攻医の中間ポストと位置づけて待遇する。臨床研修を終えて専門医資格などを取得した30代前後の中堅医師を想定している。これまでは他の病院に就職していた層で、新たなポストを設けることで府が確保。北部など医師が足りない地域、部門に配置する。

また、通常の府立医大助手ポストも10人増やす。不足地域で「指導医」として若手医師の育成や医療レベルの向上に貢献した医師が、一定期間後には大学の研究に戻れるように配慮する狙い。

地域医療を担う若手医師育成のためには、学生、大学院生、研修医向けの奨学金(月15万円程度)を新設。貸与年数と同じ期間、北部に勤務すれば返済は免除する。

このほか、出産や育児のため離職した女性医師や、退職医師の復職を支援するため、研修や相談も実施。京都で働く医師のすそ野を広げる。

府は「医療団体や民間病院などとの連携も強化し、可能な限りの方法を駆使して不足地域に勤務する医師を確保したい」としている。