『東奥日報』2007年1月29日付

医学部増員の奨学金条件を緩和


深刻な医師不足を背景に国は昨年、本県など十県の医学部定員増を認め、その条件として各自治体に学部定員の五割以上の学生に対する奨学金の設定を求めたが、各県から「負担が重すぎる」と反発が出されていたことについて、厚労省は二十八日までの本紙の取材に対して「各県の要望は相当程度取り入れる。柔軟に対応したい」として、本県などが求めている奨学金設定条件緩和に実質的に応じる方針を示した。近く文書で各県に通知する。

厚労省医政局総務課は「基本的な枠組みを踏まえて、できるだけ柔軟に対応したい。各県の要望は相当程度取り入れる。基本的な制度は変えないが、運用面でやれることがある」とし、「結果的に奨学金設定が(学部定員の)五割でなくても済む可能性がある」と、医学部増員条件に幅を持たせる姿勢を見せた。

昨年八月に示された国の「新医師確保総合対策」で、国は二〇〇八年度から最長十年間、医師不足が深刻な本県など十県の大学医学部定員を最大十人まで増加することを認めた。その条件として、増員後の入学定員の五割以上が奨学金を受けられるよう設定し、卒業後、医師が地元に残る配置計画を作るように求めていた。

この条件を適用すると、弘前大学医学部の場合、定員増加後は百十人になるため、五十五人以上、六学年で三百三十人以上に対して奨学金を設けることになる。

現在でも、本県では一学年二十五人に対して、奨学金制度を設けているが、さらに三十人に奨学金を設定するとすれば、数十億円の負担増になる−と県医療薬務課は試算。同課は「地方の財政負担が大きすぎる。他の施策ができなくなってしまう」と反発し、昨年十一月、岩手、秋田、山形など全国十県の知事の連名で、厚労省に条件緩和を求めていた。