『朝鮮日報』社説 2007年1月25日付

高すぎる韓国の大学授業料


ソウル大が今年の授業料の引き上げ率を発表した。それによると新入生の授業料は12.7%、在学生は5.4%上昇するという。一方私立大の中には、授業料を10%以上引き上げるとする大学も多い。理工系では一年間の授業料が1000万ウォン(約130万円)を越えるケースもある。これでは今後、授業料を払えないために子どもを大学に進学させられない家庭も出てくるのではないか。

年間授業料が1000万ウォンということは、講義1時間当たり2万−3万ウォン(約2600円−3900円)ということになる。果たして韓国の大学の講義にそれほどの価値があるのだろうか。

現在、4年制大学卒業者の就職率は49.2%にとどまっている。また企業は、大卒新入社員の教育に上場企業531社の合計で年間4兆8600億ウォン(約6300億円)もの出費を強いられている。さらにあきれたことに、大学で専攻した分野と就職後に従事する分野が一致する割合が69.5%にしかならないという。この割合は人文系では46.1%にとどまっている。つまり大学で習ったことを職場で生かせていないということだ。大学側はやみくもに授業料の引き上げを行う前に、企業が求める人材を輩出できるよう、教育の質を高める努力を行うべきだ。

私立大では予算の77%が授業料でまかなわれている。米国では70%近くを授業料以外の財源から調達している。大学運営に合理的な経営システムを導入し、授業料に依存する状況を脱却する必要がある。

また企業の研究所を誘致し、企業と共同でシラバスを組むなどして、企業が必要とする人材の育成に努めるべきだ。そうすれば企業も先端施設の寄贈や奨学金の提供などの支援にも協力的な姿勢を見せるはずだ。また日本の大学のように、大学が持つ多彩な特許を活用し、商品開発に乗り出すことも1つの方法だ。教職員の給料にも年俸制やインセンティブ制を導入し、意識を改善しなければならない。

日本では2004年に国立大学が法人化され、政府による規制が緩和された。その翌年の2005年、日本にある87の国立大学は計716億円の利益を上げた。また当初心配されていた授業料の上昇も、低い水準にとどまっている。大学が豊富な人材を活用し、自主的な収益活動を行うためには、まず政府による規制や干渉を取り除かなければならないということだ。