時事通信配信記事 2007年1月24日付

教育再生会議が1次報告を正式決定


政府の教育再生会議(野依良治座長)は24日午後、安倍晋三首相や伊吹文明文部科学相も出席して首相官邸で総会を開き、第1次報告を正式決定した。学力低下の一因とされる「ゆとり教育」の見直しを打ち出すとともに、教育委員会の抜本改革に取り組むと明記。いじめ対策として、学校教育法が禁じる「体罰」の基準の見直しや出席停止制度の活用を提言した。

首相は同報告を受け、25日召集の通常国会にまず教委改革など関連法案を提出、成立を目指す。再生会議は、政府の「骨太の方針」に反映させるため5月に第2次報告、年末には最終報告をそれぞれ策定する方針で、1次報告に盛り込んだ教育再生策のさらなる具体化に取り組む。

「社会総がかりで教育再生を−公教育再生への第一歩」と題する1次報告は、「基本的考え方」として、いじめや高校必修科目の未履修問題を踏まえ、「公教育の機能不全」に陥ったと指摘。七つの提言と四つの緊急対応から成る「当面の取り組み」を記すとともに、「今後の検討課題」を列挙した。

当面の取り組みでは、ゆとり教育見直しを明記し、具体策として(1)学習指導要領を早期に改定し、授業時間数を10%増加(2)薄すぎる教科書の改善(3)土曜日補習の実施−などを挙げた。深刻化するいじめへの対応として、暴力などを繰り返す子供へ「毅然(きぜん)たる指導」ができるよう、1948年に通知で示された体罰の範囲見直しなどを2006年度中に行うよう提言。事実上の緩和を促した。

また、「不適格教員」を排除するため教育職員免許法を改正し、教員免許更新制を導入するよう求めた。学校や教委に対する外部評価制度の導入や、教委改革のための地方教育行政法改正も提唱。さらに、高校での奉仕活動の必修化や、大学の9月入学普及なども盛り込んだ。

今後の検討課題には、学校週5日制や各自治体に教委の設置を義務付けた規定の見直し、自由な学校選択を可能にする教育バウチャー制度の導入などを挙げた。