『毎日新聞』2007年1月22日付

記者ノート:教育予算の増大を


文部科学省は全国の公立学校に、中間管理職の「主幹職」を置くという。それに伴い、給与体系も改め、主幹には手厚くする。学校の活性化が目的というが、先行導入した東京都では主幹のなり手がない。給与が多少高くても、板挟みの中間管理職には魅力がない。

お金の使い方を間違っていると思う。

「公教育(主に小中学校)をどう再建したらよいのか」と、よく質問される。私は即座に「お金が必要」と答える。けげんな顔をされるが、国や自治体の教育予算を現在の3倍、4倍にすれば、教室の様子は変わる。

潤沢な予算で、大勢の優秀な教師を育成する。そして、少人数学級か複数担任制を実施する。どの子にも健全な大人(教師)の目と愛情を注ぐ。家でも地域でも愛されない子を抱きしめる。それだけで救われる子どもがどれほどいるか。

税金を教育に傾斜配分するには、納税者の理解が必要だ。安倍首相、国民を説得して「教育予算増大法」を創設してくれませんか。お金ですべての問題が解決するほど単純ではないがある程度の効果は見込めると思う。いかがでしょうか。【小野博宣】