『東奥日報』2007年1月23日付

弘大と原子力機構が協定締結へ


弘前大学の遠藤正彦学長と日本原子力研究開発機構(本部・茨城県東海村)の岡崎俊雄理事長は二十二日、青森市のホテル青森で、包括協力協定の締結に向けて協議を開始することで合意した、と発表した。共同研究の第一号として、原子力機構が開発した高精度なガス分析装置の医療分野への活用に取り組む。原子力機構が弘前大学と包括協力協定を締結すれば、同機構としては福井大学に次いで二例目となる。

原子力機構は、原子力関連では国内最大の研究機関。研究開発を通じて特許権などの知的財産を数多く所有しており、最近は研究開発成果の社会還元を目指し、商品化の支援、共同開発、技術指導に力を入れている。知的財産権の保有数(二〇〇五年度末現在)は特許権が千四百八件(国内外合計)、実用新案権が六件、育成者権が三件。

ガス分析装置は、巨大空間に真空をつくり出して薄い燃料ガスを閉じこめる必要がある核融合開発から生まれた副産物だという。人間の呼気・皮膚排せつガスなどを詳細に分析でき、今後の研究によっては、呼気を採取するだけで人間の健康状態を知ることができる可能性もあるという。

原子力機構は二十二日にホテル青森で開かれた「核融合エネルギーセミナー」(県、文科省など主催)で、岡崎理事長、遠藤学長の立ち会いの下、同装置を実演披露した。

弘前大学は「非常に多くの種類のガスを測定できる、これまでにない機械だ。患者が息を吹くだけで、病気を特定できるような医療機器ができれば素晴らしい」(高梨信吾医学部助教授=呼吸器内科)と期待を寄せている。