『東奥日報』2007年1月19日付

看護師大量採用で中小病院に痛手


県立中央病院や弘前大学医学部付属病院が本年度、看護師の大量募集に踏み切ったことで、現役看護師が職場を変えるなど、県内で看護師就業事情にさまざまな動きが出ている。中小病院の現役看護師が二大病院へ移ったり、県病から弘大病院へ−という図式も出てきた。看護師不足に苦慮する中小病院は「貴重な戦力を失って非常に痛い」「新卒看護師がうちへ来なくなった」と嘆く。

「そちらの看護師を採用させていただくことになりました。本人の希望を尊重したいと思いますので、どうぞご理解願います」−。

県病の西野正事務局長は昨年十一月から十二月にかけて、市内外の九医療機関に出向き、そこで働く看護師採用に向けて、あいさつして回った。県医師会から“仁義を切ってほしい”と要請されたためだ。

県病は、看護師の大量退職が見込まれるため昨年、四十四人を公募し、五十九人に内定を出した。そのうち十人程度は県内の他病院の現役看護師という。

弘大病院は患者七人に一人の看護師を配置する「七対一」看護を目指し昨年、看護師約百人を募集し、百九人に内定を出した。そのうち四十七人が既卒・現役看護師。さらにそのうちの三十六人が津軽を中心とした県内の看護師という。

県病、弘大病院によると、今回の大量募集で、県病の非常勤から弘大の正看護師への移動もあるという。また、県内の看護師採用の受け皿が広がったことで、首都圏で働いている看護師のUターン現象も見られるという。

県立保健大によると、今年三月卒業の看護学科就職希望者九十九人のうち、一月十五日現在の内定率は約80%。就職先は県内四割、県外六割と昨年と同程度だが、大病院の内定が目立っているという。