『毎日新聞』2007年 1月15日付

<火山監視>資金不足で現レベル維持困難 科技審議会報告


文部科学相の諮問機関、科学技術・学術審議会の測地学分科会(分科会長、深尾昌一郎・京都大教授)は15日、「大学法人化などによる資金難のため、現在の火山監視能力の維持は困難」とする報告をまとめた。予知体制の抜本的見直しが必要と訴えている。

同分科会は、04年度から08年度までの第7次火山噴火予知計画の実施状況や今後の課題について検討した。国立の大学や研究機関の法人化に伴い、国からの交付金や人件費の削減が進んだ。産業に直結する研究分野の場合、企業などからの外部資金を得て研究を進めているのに対し、火山観測研究は外部資金が得にくいため、今後は研究の縮小が心配されるという。さらに、観測網やデータ伝送装置の老朽化が目立つが、資金難のため更新のめどが立たず、観測研究の強化も厳しい状況という。

こうした現状を踏まえ分科会は、「観測や火山噴火予知体制の組織的・抜本的な見直しが不可欠で、実現のための具体的な検討が必要」と報告した。

一方、地震予知のための第2次観測研究計画(04〜08年度)については、「(地震予知の3要素のうち)『位置』と『規模』の予測には一定の見通しが得られた」と評価。今後は、課題として残された「時期」の予測につながる地震の直前過程解明のため、宮城県沖など地震発生確率が高い地域での観測の充実・強化が急務だとしている。【須田桃子】