『琉球新報』2007年 1月16日付

生態系影響に配慮を 知事が12項目で意見 大学院大環境評価


「沖縄科学技術大学院大学(仮称)整備事業」の環境影響評価書に対し、仲井真弘多知事は15日、環境保全の見地から、事業者である独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構に12項目の知事意見を出した。実施を予定している緑化計画で、周辺生態系や遺伝的かく乱への影響を可能な限り回避・低減するよう十分配慮することなどを求めた。

環境影響評価手続きは事業者が今後、同意見を勘案して評価書を補正し、補正後の評価書を公告・縦覧(30日間)して終了する。

同事業は沖縄科学技術研究基盤整備機構(シドニー・ブレナー理事長)が恩納村谷茶・南恩納地区に建設を計画している。事業実施区域は約80ヘクタールで、本来は県環境影響評価条例の適用外だが、事業者が環境への配慮から自主的に手続きを行っている。

知事意見では今後、移動を予定しているオオウナギやギンブナ、モクズガニ、ミナミテナガエビなど7種の重要な動物種について、「移動先の生態系にかく乱を生じさせることのないよう、専門家等の指導・助言を十分に受けること」とした。 造成地の近接地に生息し、新種の可能性がある植物オニノヤガラ属の一種については、粉じんや排ガスの発生などで影響が及ぶ可能性が予測されているとして、事後調査の実施を求めた。