『毎日新聞』2007年1月13日付

下関市立大:学長選考 「教授会の意向無視」と異議 /山口


下関市立大の独立行政法人化後最初の学長が坂本紘二教授に内定した。しかし、この人事が教授会の意向投票と違ったため教授会内でも異論が出ている。11日には同大教授が市役所で会見し、選考方法に異議を訴えた。

会見したのは国際商学科の山本興治教授(62)。教授会の意向投票は、堀内隆治・現学長(26票)が坂本教授を2票上回った。しかし、選考小委員会の審査で逆転。山本教授は「教授会の意思を無視しており、大学の自治が侵されることにつながらないか。同意見の教員もいる」と述べた。

学長選考はこれまで教授、助教授、講師の投票で決めていた。独立行政法人化準備委員会では、教員が推薦した候補者を選考小委の審査で絞り込む案に大学側委員が反発。意向投票も参考にすることで決着した経緯がある。

選考小委は山村重彰副市長や同大教授ら4人。山本教授は「意向投票したら、結果を尊重してもらえると考えるのが筋ではないか」と話している。
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■今日のことば

◇独立行政法人

国や自治体から大学などの行政機関を切り離して法人格を与え独立させる制度。行政改革と規制緩和の一環で、予算や人事面で各機関の裁量が大幅に拡大する。採算性重視などの弊害として「学問の自由や大学の自治が妨げられる」との指摘もある。