『東奥日報』2007年1月11日付

弘大の医師派遣 5年間で3分の1に


弘前大学医学部が、県内自治体病院に派遣する常勤医の紹介数が、最近五年間で三分の一に減っていることが、弘大のまとめで分かった。二〇〇一年度は県内の病院に計六十八人派遣していたが、〇五年度は二十三人。各病院から大学への医師の復帰数は毎年三十人前後と、ほぼ一定なのに対し、派遣数は大幅な減少傾向にあり、医師不足に苦悩する同大の現状が、あらためて数値で示された。

常勤医の派遣数と復帰数の実態は、遠藤正彦学長が十日、弘大で行った定例会見で示した。〇一−〇五年度の五年間に、県内二十二病院に派遣した医師と、病院から復帰した医師の人数を、病院別にまとめている。

それによると、県内でも特に医師不足が深刻な公立金木病院(五所川原市)には、五年間で派遣は七人にとどまり、逆にそれを一人上回る八人が大学に復帰している。

五年間のうち、常勤医の派遣数が大きく落ち込んだのは〇三年度。臨床研修の義務化を翌年に控え、この時は〇二年度の七十七人から三十三人と半分以下に減っている。

会見で遠藤学長は「パート(非常勤医)はもっと多く紹介しているが、医師不足で残念ながらこれ以上供給できない状況」と述べ、臨床研修の義務化などを背景に、全国の大学病院が人材確保に追われる現状を示した。