『しんぶん赤旗』2007年1月10日付

奨学金回収
督促予告1万件超
06年度急増 「取りたて」批判も


奨学金事業を行う独立行政法人「日本学生支援機構」(旧日本育英会)が、奨学金の返還を滞納している人に対して行う「支払い督促の申し立て」予告件数は、二〇〇六年度に一万件を超えました。この申し立ては民事訴訟法に基づくものです。同件数は、〇五年度で四千百六十七件で、二倍以上の急増です。

支援機構は、「モラルハザードを防止する」などとしていますが、「返したくても返せない」という人も少なくなく、強制的な「取りたて」という手法への批判の声もあがっています。

奨学金の未返還は、〇五年度の返還予定額二千五百七十五億円の約二割にあたる五百六十二億円。三カ月以上滞納している人は、〇一年度から急増しており、〇五年度末には十八万五千人に達しました。

滞納理由には、経済状況が色濃く反映しています。滞納が一年から二年の約千八百人を対象に支援機構が〇五年度行った調査によると、延滞理由は、22・1%の「低所得」につづいて、「無職・失業」が20・3%。〇一年度調査の6・5%から急増しました。

支援機構は、「厳しい姿勢」で返還を求める考えです。文部科学省は、奨学金の回収の強化を掲げ、早期の返還督促や法的措置の充実・強化、債権回収会社の活用の拡充を打ち出しています。