『読売新聞』2007年1月10日付

「全入時代」控え、大阪府大・大阪市大が連携協議へ


大学・短大の定員が志願者数と同じになる「全入時代」を前に、大阪府立大と大阪市立大が連携に向け協議を始める見通しになった。単位互換や共同研究を通じて総合大学としての魅力を高めるのが狙い。無試験で互いの大学に編入できる制度も検討する。12日に開く府市連携協議会で初めて議題とし、本格論議に着手する方針だ。

府立大は、生命環境科学部など7学部で、学生数約6500人。農学系や看護・リハビリ分野が充実している。市立大は、商、医など8学部で、学生数約7100人。付属病院や法科大学院があり、夜間課程も設置されている。

少子化で2007年度に大学全入時代が到来するとされ、各大学では定員確保が大きな課題になっている。国立大や私立大がいち早く改革を進める中、両大学とも対応を迫られていた。

両大学はそれぞれ府や市から毎年、130億〜140億円の交付金を受けている。府、市関係者には経営効率向上のためにも統合すべきとの意見もあるが、長い歴史を誇る両大学が反発するのは必至で、現実的方法として連携の方策を探ることになった。

連携については両大学とも積極的で、金児曉嗣(かねこさとる)・大阪市立大学長は「国立大、私立大に対抗する意味でも教育、研究が充実する方法を探りたい」と言い、無試験で互いの大学に編入できる制度の可否についても検討したい、とする。南努・大阪府立大学長も「お互いの学生のためになる連携を進めたい」としている。