『信濃毎日新聞』2007年1月8日付

信大とJTB 中高年対象の生涯学習講座開催へ


信大(本部・松本市)と大手旅行会社のJTB(東京)は今夏の約2週間、全国の50歳以上の希望者が松本市内に滞在して信大旭キャンパスで講義を受ける「シニアサマーカレッジ」を初めて開く。「団塊の世代」をはじめとした中高年が最先端の研究や地域の文化に触れながら人生を見つめ直す機会を提供するとともに、信大や松本市の魅力を全国に発信する狙いだ。

カレッジは、大学が夏休み中の8月下旬から9月上旬を予定。参加者は同市の浅間温泉や美ケ原温泉など大学周辺の好みの宿泊施設に滞在し、そこから「通学」する。信大教員らによる計約20の講義を受ける。松本市や県からも講師の派遣を受ける計画だ。

講義の内容は現在詰めており、信大は看板の一つに「山岳」を据えたい考え。座学のほか、上高地などに出かけ、北アルプスの景観や山岳の成り立ち、動植物などについて、実際に見て触れる体験を盛り込む。全国でも珍しい繊維学部や、医学部の最先端研究に関する講義も予定する。

期間中、市内では「サイトウ・キネン・フェスティバル(SKF)松本」も開かれる。夜はSKFの公演や地元の料理などを自由に楽しんでもらうことで、地域の活性化にもつなげる。

JTBが昨年夏、こうしたカレッジを提案して山口大(山口市)と弘前大(青森県弘前市)で初めて開いたところ、全国から予想を上回る計60人余が参加した。大学のある地域のファンになる人も多く、受講地で「同窓会」を開く計画もあるという。

今年は開催を5−10大学へ拡大。昨年の参加者へのアンケートで信大でを希望する声があったという。JTBは「上高地やアルプス、夏の涼しさなど、ブランドイメージがある信州は人気が高いはず」(事業創造本部)と期待する。

全国から受講生を迎える信大側も、社会貢献に力を入れる大学として評価を高めたい−と期待する。小坂共栄副学長は「受講者が信大の良さを孫らに伝えてくれれば、受験生の増加につながるかもしれない。中高年自身がもう一度、大学に入学してもらってもいい」と話す。

信大での全受講料は約13万円で、ほかに宿泊代などが必要。1月に計画の詳細をまとめ、4月に募集を始める計画だ。