『しんぶん赤旗』2007年1月5日付

奨学金 さらにローン化


政府の二〇〇七年度予算案は、日本学生支援機構の奨学金事業について、「さらなる充実を図る」として、〇六年度比で五百億円増の八千五百億円の事業費を計上しました。

一見すると、政府が標ぼうする「学生などが、安心して勉学に励める」ための拡充のようですが、その内実は、無利子貸与枠が前年度比五十億円増の微増であるのに対し、有利子貸与枠は前年度比四百四十億円増を計上。有利子枠と無利子枠の比率は、一九九八年度の一対三から、二〇〇六年度は二対一に逆転しており、さらなる有利子貸与枠の拡大を進める予算案になっています。

高等教育の強化のため、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が中心となって設立した、世界各国の高等教育関係者(大学、研究所など)のネットワークである「GUNI」が〇五年に発表したリポートは、「ローンだけを提供することにおいて、日本は異常」だと指摘。奨学金事業の教育ローン化を批判しています。

そもそも、支援機構(旧日本育英会)が独立行政法人化されたとき、付帯決議で「教育の機会均等の実現のため、無利子奨学金を基本」とする理念が盛り込まれました。本来は、無利子枠の拡充と、欧米並みの給費制をつくることこそが求められています。

にもかかわらず、政府は「骨太の方針2006」で奨学金の金利上限3%を見直す方針を示しており、金利上限の撤廃・引き上げを狙っています。奨学金の高金利化で、教育の機会均等が崩れ、教育格差が広がる危ぐが高まっています。