『西日本新聞』2006年12月29日付

長崎大 離島の薬剤師育成へ 来年度から五島で臨床実習


長崎大(長崎市)は28日、離島やへき地の薬剤師養成の一環として、来年度から薬学部の学生を対象に長崎県五島地区で臨床実習を実施すると発表した。同県が離島県であることを生かした取り組み。文部科学省によると、離島やへき地の薬剤師養成に特化した実習は全国の大学で初めてという。実習費など約2000万円が、来年度政府予算案に盛り込まれた。

薬剤師の国家試験の受験資格を得るためには、1カ月間の病院薬剤部実習と2週間の薬局実習が必要。同学部は4年生を対象に長崎市など都市部で実習を実施してきたが、来年度から五島市と新上五島町で1週間の実習を試験的に追加。本年度から6年制となった同学部薬学科の1年生が6年生になる2011年度から、離島実習を正式にカリキュラムに組み込む。

実習は地元の薬局や病院、診療所、保健所などと連携して実施。薬剤調達から調剤、窓口業務などを学ぶ以外に、無医地区への医師の往診に同行したり、住民の健康相談に乗ったりする。

同県によると、02年現在、人口10万人に対する薬剤師数は全国平均一に対し、離島の上五島地区は0.4、対馬地区も0・7と低い。塚元和弘薬学部教授は「現地の薬剤師や医師、地域住民と触れ合うことで自信がつき、離島やへき地の病院、薬局への赴任を志す学生が増えれば」と話している。