『中日新聞』2006年12月27日付

科学予算でスポーツ施設
文科省が241億円


文部科学省が科学技術振興費で「ナショナルトレーニングセンター中核拠点施
設」(東京都北区)を建設していることが分かった。

文科省と財務省は「科学的トレーニングを行い、その成果を実証する施設」と説
明するが、科学技術振興費は本来、生命科学、宇宙や海洋分野、情報通信な
どの研究開発に利用する予算で、大学などに配分される科学研究費補助金も
含まれる。研究者からは「そんな名目で使われたら、科学技術予算が削減され
たことと同じ」と怒りの声が上がっている。

同施設は、バレーボールなどの練習や約250人の宿泊ができる。隣接する国
立スポーツ科学センターとの連携をうたっているが、主な目的はトップレベルの
選手を強化し、五輪でのメダル獲得数を増やすことだ。

昨年度から建設を始め、08年の北京五輪の直前合宿に間に合うよう、07年度
中の完成予定。昨年と本年度の整備費94億円のほか、本年度の補正予算と来
年度の予算案に盛り込まれた147億円をいずれも科学技術振興費として扱って
いる。科学技術振興費の予算は全体で、来年度は微増の1兆3461億円。文科
省関係者からは「スポーツ予算が足りないから、無理に理由をつけて科学技術予
算の枠に入れたのでは」の声が漏れている。