『中日新聞』2006年12月26日付 信大構内の神社に課税 松本市、大学法人化で対象拡大 松本市の信州大構内にある神社の土地約130平方メートルについて、市は信 州大以外の任意団体が使っていると判断、地方税法が改正された2005年度 にさかのぼって固定資産税を課したことがわかった。市は11日付で土地所有 者の信州大に通知し、大学側は20日に減免を申請した。 市内の元大学教授が「市は課税を怠っている」として市監査委員に監査請求し ていた。 市監査委員事務局によると、神社の維持管理や祭事は大学の出入り業者など で組織する「杏蔭会」が担っていると分かり、市は課税が妥当と結論づけた。市 の対応で監査請求の理由がなくなったとして、市監査委員は請求を棄却した。 この神社をめぐって元教授は「大学構内に神社があるのは憲法の政教分離原 則に反する」と移転などを求めた訴訟で04年に敗訴が確定したが、東京高裁 は判決で「神社を存置している国や大学の姿勢は憲法の精神に反する」と批 判した。 国立大学が所有する固定資産は非課税だったが、国立大の法人化に伴う2004 年の地方税法改正で、大学法人が使っている土地・建物以外は固定資産税を 05年度分から課税できるようになった。ただ、国は個別事例について課税の可 否を示しておらず、自治体によって対応はまちまちなのが現状だ。 改正法を受け松本市は、信州大構内にある複数の職員官舎を新たに課税対象 とした。このほか食堂や売店なども対象にできるかどうか現在、大学側と協議し ている。市は「大学の管理下にあるかどうかという観点で年度内には課税の可 否を判断したい」(資産税課)と話している。 (赤川肇) <信州大総務部総務課の話> 神社は昔からあり、大学の所有物でなく正式 な所有者もない。大学の費用で壊したり移転したりできないので、杏蔭会とも協 議しながら移転を検討している。 |