『京都新聞』2006年12月26日付

京大病院が「がんセンター」設立 来年4月 総合的な診療本格化へ


京都大医学部付属病院(内山卓病院長)は26日、「京大病院がんセンター」
を設立すると発表した。来年4月から、診療科の垣根を越えた総合的な診療
を本格化させる。国内の大学病院では初めての試みという。

大学病院は臓器や組織ごとに診療科が分かれており、がん治療でも、患者
が放射線や化学療法など治療法の選択に迷ったり、別の診療を受け直さな
ければならないなどデメリットがあった。

がんセンターは「外来がん診療部」「入院がん診療部」「がん診療支援部」を
設置。外来がん診療部は、各がんごとに関係する複数の診療科の医師らを
一つのユニットとして配置する。前立腺がんはすでに初診や診療をユニット
で行っており、来年4月をめどに、肺がんや乳がん、消化器がんでも始める。

入院がん診療部は4月以降、さまざまな方法を組み合わせた治療を開始。
がん診療支援部は「がん情報室」を設置して情報提供をしたり、がん専門医
療職の育成を行う。さらに、来年4月をめどに緩和治療に詳しい医師や看護
師による緩和ケアチームも発足させる。

外来診療棟西側に建設予定の新病棟に入院診療部などを置き、2010年に
移転する。

京都府のがん診療連携拠点病院は、府立医科大付属病院が指定されており、
来年1月、府立医大に最先端のがん研究を治療に役立てる「がん征圧センター」
が開設される。内山病院長は「患者の診療をメーンに、京大病院の総合力を
生かして研究にも力を入れる。府立医大とも連携していきたい」と話している。