『毎日新聞』2006年12月22日付

教育再生会議:素案了承見送り 与党への譲歩に委員反発


政府の教育再生会議は21日、安倍晋三首相も出席して来年1月の第1次中間
報告の素案を協議したが、「議論したテーマが削除されている」と不満が噴出
 し、了承を見送った。素案を書いた首相官邸の同会議担当室が、自民党文教
族が再生会議に反発しているのに配慮し、「大学の9月入学」など具体論を明記
しな かったためだ。自民党は「官邸は文部科学省が決定済みの政策しか盛り
込めない」(政調幹部)と見透かしており、首相は最重要課題の教育政策でも
主導権を失 いつつある。

「担当室がわれわれの議論の是非を判断するなら結構だ。ただ、会議はすべ
て公開すべきだ」

渡辺美樹委員(ワタミ社長)は同日の会議で、政治家の顔色をうかがう官僚主
導の運営に厳しく注文をつけた。再生会議は8、9両日、泊まり込みで集中討
議 を行ったが、そこで確認した教員免許更新制の厳格化や「ゆとり教育」見直
しなどが素案からは抜け落ちており、小野元之・元文科事務次官ら他の委員か
らも 「明記すべきだ」と不満が相次いだ。

首相主宰・出席の会議が、これほど紛糾するのは異例だ。安倍首相は「激しい
議論もあったが、具体的な取りまとめをお願いしたい」とあいさつし、委員たち の
不満に理解を示しながらも、議論の集約を低姿勢でお願いするしかなかった。

教育改革担当の山谷えり子首相補佐官は7日と18日の2度、自民党文教族ら
で作る与党教育再生検討会(座長・大島理森元文相)に素案の検討状況を報
告。 「再生会議の決定が政府決定になる」と説明したが、来年以降の学校教
育法などの改正作業を大きく左右するだけに、与党からは「無責任なやり方
だ」(自民党 参院議員)との不満が爆発。結局、内容の後退を余儀なくされた。

一方、伊吹文明文科相は20日、文科省で佐田玄一郎規制改革担当相と会
談。7月の「骨太の方針」に盛り込んだ教育委員会制度に関する規制緩和策
につい て、再生会議の議論とは関係なく、文科省と内閣府で検討していくこ
とを合意した。来年の通常国会提出を目指している教育関連法改正に盛り
込む方針だ。

学校運営の権限を持つ教育委員会は、いじめによる自殺や未履修問題で
不手際が多発。見直しは教育改革の「核心」(文教族幹部)となっているが、
文科省と 自民党が作業をリードし、再生会議は排除されつつある。伊吹文
科相は21日の再生会議の終了後、記者団に「会議の意見はいいアドバイ
スとして活用すればい い」と冷たく突き放した。【竹島一登】

■教育再生会議中間報告素案のポイント■

・教育内容を充実して授業時間を増やし、習熟度別指導を推進

・いじめを許さず、反社会的行動をとる子どもは出席停止措置を検討

・社会人の教員への中途採用と、教員の適性判断の厳格化

・保護者による学校評価と、教育委員会の情報公開の推進

・「放課後子どもプラン」の着実な実施と企業の子育て支援の充実