『読売新聞』2006年12月20日付

首都大学東京など3大学、チーム医療教育強化で連携(東京)


医師や看護師、薬剤師など医療専門職が職域を超えて共同で治療を行う「チー
ム医療」の促進と、医療安全教育の向上を図るため、首都大学東京(八王子市)、
東京慈恵会医科大学(港区)、共立薬科大学(同)は19日、共同で研究・教育
に取り組む協定を締結した。首都大学東京によると、学生の職業教育を巡り、
複数の大学が職種を超えて連携するのは全国でも珍しいという。

締結式は八王子市の同大南大沢キャンパスで行われた。3大学はまず、2007
年3月に医療系の様々な職種間で意思疎通を図る方策について考えるセミナー
を共催する。4月以降は、大学をまたいだ講義の受講や単位互換も実現したい
考えで、対象科目などを調整している。

チーム医療では、良質な医療サービスの提供に向け、医師だけでなく療法士や
薬剤師など複数のスタッフが治療に関与する。しかし現状では、スタッフ同士の
情報共有が不足し、医療過誤を招く恐れなどが指摘されており、自由に意見交
換できる体制作りが不可欠とされている。

協定は、看護師や理学療法士などの養成を行っている首都大学東京が今夏ご
ろ、両大学に呼びかけて実現した。共立薬科大学は今秋、慶応大学との合併協
議を始めることで合意したが、08年を予定している合併が実現しても、3大学で
の連携は継続する方針。

首都大学東京健康福祉学部は、「医療現場に従事する前から、職域を超えて自
由に論議することが当然だという意識作りをしたい。それが、患者へのよりよい医
療サービスの提供につながる」と意義を説明している。