『朝日新聞』2006年12月17日付

教員の教育能力向上研修、全大学に義務づけ 文科省


文部科学省は、すべての大学や短大に対し、教員の教育能力を向上させるため
の研修を義務づける。授業に不満を持つ学生が多いためで、このほど中央教育
審議会(中教審)の部会でこの方針が了承された。大学の取り組みを後押ししよ
うと、専門スタッフ養成のための海外研修や、一部の大学が持っている教員教育
施設の他大学への開放などへの財政面での支援を検討する。

大学による教員の教育能力研修はファカルティー・ディベロップメント(FD)と呼ば
れる。07年度にも大学・短大の志願者総数と総入学者数が等しくなる「大学全入
時代」を迎えるため、各大学は学生の教育充実に力を入れており、文科省の調べ
では全体の4分の3がFDに取り組んでいる。ただ、講演会など形式的なものが多
く、能力向上に結びついていないとの見方が多い。

全国大学生活協同組合連合会の調査(05年、9900人が回答)では、授業に不
満を持つ学生は55%。文科省は大学全体の教育力の底上げが必要だと判断、
中教審大学分科会の制度部会に諮り、「努力義務」とされてきた研修の義務づけ
を含む大学設置基準の改正方針が14日の会合で了承された。