『毎日新聞』大分版2006年12月17日付

改正教育基本法:現場や保護者らに波紋 県教組など抗議声明、一方で評価も


「愛国心」「家庭教育」などの項目が新たに盛り込まれた改正教育基本法。参
院での可決・成立を受け、教育関係者や保護者らからさまざまな声が上がった。
県教職員組合(県教組)と県高校教職員組合(県高教組)が16日、抗議声明
を発表するなど波紋が広がっている。【藤原弘、小畑英介】

県教組と県高教組は16日会見し「十分に審議を尽くすことなく、国民的合意
を得ないまま強引に『改正』したことは、自民党・公明党の国民に対する犯罪
的行為」とする抗議声明を出した。県高教組の横道信哉委員長は「教育基本法
は書き換えられてもその理念は永遠に生きる。取り組みを続ける」と話した。

国会では「愛国心」が論議の的となる一方、政府が国民の声を聴く場と位置付
けたタウンミーティングで「やらせ問題」が発覚し、その予算支出のあり方も
含めて批判を浴びた。「愛国心」の評価が可能かどうかなど、教育現場には疑
問や注文の声もある。

ある中学校男性教諭(45)は「『態度』はあいまいな言葉。指導・評価は不
可能に近い」と話す。一方、ある小学校校長は、淡々と「現場をどうするか、
具体的な肉付けはこれから」と話し、「国会のやり取りは十分でなかったと思
うが、関心を集めたことも事実。(改正には)賛否両論あるのだから、国も大
きな変化には慎重になってほしい」と注文を付けた。

小学生3人の子を持つ大分市の女性(40)は「国、政治家の望む教育もあれ
ば、保護者たちが望む教育もある。頭ごなしに決めずに、じっくりと子供のた
めに必要なことを考えてほしい」と話した。

一方、評価する声も。衆院特別委の地方公聴会(先月13日)で意見陳述した
県高校PTA連合会長の高橋正夫さん(56)は「もう少し突っ込んだ議論を
してほしかった」としながらも「家庭教育や地域の教育力を考えるバックボー
ンになり、研修などの施策が期待できる」と話した。