『沖縄タイムス』2006年12月16日付

「根本の問題を放置」/教基法改正
教員・父母ら危機感


「教育現場に競争原理が持ち込まれ、今まで以上に子どもの心が荒れてこない
か心配だ」。那覇市内の小学校長は、改正法が重視する能力主義を批判。「お
互いを高め、磨き合う競争は必要だが、教育が弱肉強食の世界であってはなら
ない」と話した。

那覇市の小学校教諭(45)は「いじめなど、現場が一番切実に感じている課
題と、国会議員がやっていることがあまりにも乖離している」と指摘。「学校
は世の中の縮図。根本の社会問題を放置したまま、教育だけを変えようとして
も何も解決できない」と強調した。

本島中部の中学校教諭(40)は、国が二〇〇七年の実施を決めている「全国
一斉学力テスト」で学校間格差が助長されることを危惧。「学校の平均点を上
げるため、実施日に成績不振の子を強制的に休ませるなど、不正をする学校が
出てきてもおかしくない。高校社会科履修漏れの広がりを考えれば、可能性は
十分ある」と指摘した。

本島中部の「不登校」の子を持つ母親(41)は「親が登校させないとして処
罰の対象になったり、学校が子どもに登校命令したりすることにならないか」
と危機感をにじませた。

「新時代の理念」/仲井真知事

参院本会議で十五日成立した改正教育基本法について、仲井真弘多知事は同日
の県議会十二月定例会で「制定当時と社会状況や教育を取り巻く環境は大きく
変化しており、現行法の普遍的な理念は大切にしながら将来に向かって、新し
い時代の教育の基本理念を明確にするための改正と認識している」と語った。
奥平一夫氏(社大・結連合)への答弁。