『毎日新聞』2006年12月15日付

<改正教育基本法>自公などの賛成多数で可決、成立


政府・与党が今国会の最重要課題と位置付けてきた改正教育基本法が15日の
参院本会議で自民、公明の与党の賛成多数で可決、成立した。同法の改正は
1947年の制定以来初めて。改正基本法は前文で、公共の精神の尊重を強調、
教育目標に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する
態度を養う」との表現で「愛国心」を盛り込んだ。政府は、来年の通常国会に学校
教育法や教員免許法の改正案を提出し、教育改革を本格化させる。

改正基本法は、6・3制の変更も視野に9年の義務教育年限を削除。家庭教育と
幼児教育の条文を新たに設けて、国や地方公共団体による環境整備を義務付け
た。政府に対しては新たな「教育振興基本計画」の策定を課し、国と地方に財政上
の措置を求めた。

同法成立に伴い、安倍晋三首相が設置した「教育再生会議」(座長・野依良治理化
学研究所理事長)は、教員評価制度や「ゆとり教育の見直し」を来年1月の中間報告
に盛り込む方針だ。

一方、国会では、教育基本法改正案の採決に先立ち、与党は野党の抵抗で時間切
れとなって廃案や継続審議となることを回避するために、衆院本会議で会期を19日
まで4日間延長することを議決した。そのうえで、野党4党が提出した安倍内閣に対
する不信任決議案を否決。麻生太郎外相に対する不信任決議案は内閣不信任に包
含されるとして採決しなかった。

参院でも野党4党が伊吹文明文科相の問責決議案を提出して抵抗。ただ、安倍首相
の問責決議案については、民主が「すでに衆院で内閣不信任決議案を提出している」
との理由から慎重姿勢を示したため、共産、社民両党だけで提出、野党共闘に亀裂
が生じた。伊吹文科相の問責決議案は参院本会議で与党の反対多数で否決。首相
の問責決議案は参院議院運営委員会で自民が「持ち帰って検討したい」と主張、民
主も反論せず本会議採決を先送りした。

国会は最終日の19日、衆参両院で残っている法案の継続手続きなどを行う。【竹島
一登、衛藤達生】