『毎日新聞』2006年12月14日付大阪夕刊

教育基本法改正:「まともな説明ない」 市民から疑問の声


安倍晋三首相が今国会の最重要課題と位置づける教育基本法改正。与党は今国
会で成立させる構えだ。ところが、教育基本法改正もテーマだった教育改革タウン
ミーティング(TM)で、開催8回のうち5回で政府によるやらせ発言が判明。TM問
題当時、官房長官だった安倍首相は、3カ月の首相給与返上でけじめをつけようと
している。市民の受け止め方は……。

こうした問題が発覚した中で、教育基本法改正案を今国会で成立させるべきか否
かを、近畿6府県の13人に街頭などで聞いたところ、させるべきは1人、させるべ
きではないが10人、無回答が2人だった。

させるべきだとした理由は「仕方がない」(大阪市、34歳主婦)だった。

させるべきではないとした理由では、「やらせを知り、改正議論が空虚に感じられ
た」(京都市、20歳女子大学生)などTM問題を理由にした意見をあげた人は少数。

多かったのは、「『愛国心』が盛り込まれ、どんな結果になるのか想像できない。
もっと国民に伝えるべきだ」(奈良市、46歳会社員男性)、「政治家に都合のいい
方向に国を進めている」(大阪府吹田市、31歳の飲食店店長の女性)、「なぜ変
えるのか、まともな説明がない」(和歌山市、50歳団体職員女性)など、改正その
ものに納得していないという声だった。

安倍首相のけじめについては、「それではすまない」(大津市、70歳無職女性)、
「安易だ。お金を返せばいいというものではない」(神戸市、65歳アルバイト女性)、
「すべて金で換算するのが大きな間違い。子どもたちの模範になるような行動を」
(兵庫県宝塚市、70歳無職男性)と厳しい声が多かった。

◇中央教育審議会委員でTMに回答者として出席した梶田叡一・兵庫教育大学長
の話

やらせ質問は民主主義の根幹を揺るがす問題。ただ、教基法改正とは別問題。改
正は時間をかけ精査すべきだ。