『朝日新聞』2006年12月14日付

所属全研究者に「連座制」適用 研究費不正対策で文科省


早稲田大学での研究費不正受給問題などを受け、文部科学省の有識者検討会は
13日、不正防止に向けた研究費管理の指針案をまとめた。大学などの研究機関に
対し、研究者個人ではなく組織による管理態勢の整備を来秋までに求めるほか、不
正を起こしたのに対策が進まない機関には、所属する全研究者に対して研究費支給
を停止する「連座制」を適用するなど、厳しい姿勢で臨む。

指針は、文科省が所管し、公募と審査を経て支給する競争的研究費(06年度3584
億円)が主な対象。

各機関に研究費管理の専門部署と統括責任者を置き、研究費の使用ルールと運用
実態の食い違いをチェックする「不正防止対応計画」づくりを求める。不正の温床とな
る業者と研究者の癒着を防ぎ、カラ出張ができないように研究者の出張計画の実施
状況をつかむ仕組みや、不正の告発を受ける窓口の設置、内部監査の充実も要請
する。

対策の進みぐあいを文科省が定期的に調査し、不正を起こしたのに「改善命令」に従
わない機関には、研究費管理に必要な事務予算を減らしたり機関名を公表したりする。
また、当事者以外への研究費配分も一定期間停止する連座制の「罰則」も設ける。

指針案は一般の意見を募ったうえで来年2〜3月に正式決定し、全国の大学、国や民
間の研究機関、NPO法人など2千以上の機関に通知して、08年度の研究費の募集が
始まる来秋までに態勢を整備するよう要請する。