『しんぶん赤旗』2006年12月12日付 「教育基本法改悪案」あす採決提案 参院特委で自民・公明 国会会期末が十五日に迫るなかで、自民、公明両党は十一日、安倍内閣が最重 要と位置づける教育基本法改悪法案について、十三日の参院教育基本法特別委 員会で締めくくり総括質疑と採決をする日程を野党側に提示しました。また自民、公 明両党の衆参国対委員長は同日、同特別委員会の採決をめぐる状況を見きわめた 上で、今国会の会期延長の是非を十四日ごろに最終判断する方針を確認しました。 同特別委は十一日、参考人質疑を実施。十二日には中央公聴会を開くことが決まっ ています。与党提案は公聴会などの国民の声を審議にいかすのでなく、打ち切って 採決に持ち込もうとするものです。 日本共産党など野党側は「公聴会の前の採決提案は受け入れられない」と反対し、 協議は物別れに終わりました。 十三日まで東アジアサミットに出席予定だった安倍晋三首相が、同サミットの延期で 十日に帰国したため、与党は当初の十四日採決の意向を早めてきました。 自民党と民主党は国対幹部の間で衆院教育基本法特別委員会の野党の補充質疑 を今週中に行うことで一致。民主党は参院特別委の採決前に行うように求めており、 十三日となる方向です。この質疑は法案の衆院強行採決後の国会正常化に際して、 安倍首相出席で「できるだけ速やかに開く」と約束したものです。 *********************************** いじめ問題 数値目標化に疑問 参院教基特で参考人指摘 参院教育基本法特別委員会は十一日、教育行政における地方公共団体の役割につ いて自治体首長・経験者を招いて参考人質疑を行いました。日本共産党からは井上 哲士議員が質問に立ちました。 井上氏は義務教育の無償を財源的に保障すべき国の役割を明らかにしながら、この 間政府が行った義務教育費の国庫負担金の削減などについて見解をただしました。 愛媛県の加戸守行知事は、削減に反対してきた立場から「社会保障は削るわけには いかない。ならば、義務教育費も同列ではないか」と指摘しました。 埼玉県志木市の穂坂邦夫前市長も「国がしっかりと責任をもったほうがいい」と述べま した。 また井上氏は、教育基本法改悪法案の振興基本計画の例として「いじめ半減」の数値 目標があげられていることにふれ、こうした数値目標化はすでに実態隠しを招いている と指摘。参考人の見解を問いました。 東京都品川区の浜野健区長は「いじめには主観的要素があり、はっきり数値で表せる かどうかは難しい問題だ」と応答。加戸知事も「目標が設定されるとそれに合わせるた めに意識的数字操作が行われる危険性があり、設定することに疑問がある」と述べま した。 また井上氏が「学習指導要領」の運用についてたずねたのに対して、加戸知事は学習 指導要領はおおよその基準であるべきだとの考えをのべ、「弾力性、幅をもたせてほし い。学校が創意工夫するようなカリキュラムであるべきだ」と述べました。 |