『JANJAN』2006年12月10日付

与党教育基本法「改正」は拙速


12月7日、8日は大新聞などでも伝えられた教育基本法「改正」がなされる
ところであったが、11日からの週にずれ込んだ。

これは4日、6日にあった地方公聴会で、ほとんどの公述人が「改正」は拙速
である、さらに、現行教育基本法に則って教育行政は行えというものであった
ことや、徐々に高まる「改正」反対の世論によってそうなってきていると思われ
る。

今のところ14日、15日の国会会期末にも採決ということが言われている。そ
んな会期ぎりぎりで、こんなに大切な憲法に準じた法案を通していいものか。
それは間違っているといわざるを得ない。

与党議員の中には、ASEAN首脳国会議が台風のためなくなったので安倍晋
三首相の帰国が早まり「改正」案成立が早められると喜んでいる者もいる、と
新聞紙上では出ていた。

現行教育基本法は、戦争の反省から二度と再び戦争を肯定するような教育、
民主主義を破壊する独裁的な教育になってはならないものとして作られたの
であった。それを与党教育基本法「改正」案は、ほぼ180度転換した。国家が
教育権を握り、教育で人々に徳目を押し付け、愛国心で、格差教育・格差社会
で分断され、不安不穏な現代の社会状況を強制的に固めて、敵を定めて戦争
へも導くような「改正」案である。

今、教育問題が沸騰する中、国民が何かしなければと思う気持ちをうまく利用
して「改正」すれば教育がよくなるかのようなマスコミ宣伝をして、改正を急ごう
としている。来週が本当に歴史の曲がり角。「改正」案廃案へ!の大きなうねり
を作りたいものである。

(杉原栄)