『産経新聞』2006年12月10日付

教育再生会議、「懲戒許さず」の通達見直しを提言へ


安倍晋三首相の諮問機関「教育再生会議」(野依良治座長)は9日、都内のホ
テルで、来年1月下旬の中間報告策定に向けた3分科会の集中討議を行い、2
日間の日程を終えた。「規範意識・家族・地域教育再生」がテーマの第2分科会
では、悪質ないじめを繰り返すなど、特に問題のある児童でも、授業を受けさせ
ない「懲戒」は許されないとした昭和23年の法務庁(現法務省)通達は見直す
べきだとの意見が続出。新指針づくりを検討することで合意した。

討議では、「通達は今日はそぐわない。一日も早く(省令を)改正すべきだ」との
認識でほぼ一致した。ただ、いじめ加害児童に対し、実際に「出席停止」措置を
取ることには意見が分かれ、結論は出なかった。中間報告では「出席停止」を
他の言葉に置き換え、何らかの措置と実施基準が盛り込まれる見通しだ。

これに関連し、中間報告では「いじめ問題を柱に据えて提言する」(池田守男・
第2分科会主査)ことも決めた。

このほか、社会や他人への奉仕の精神、優しさ、友情、親孝行−といった「徳
目」を身につける上での読書の重要性が改めて指摘された。一部学校で実施
されている始業前10分間の「読書の時間」を全国普及することなどを目指す。
登下校時や給食時のあいさつの督励を普及させていく。

教育理念や、大学・大学院改革について検討する第3分科会は、国際競争力
の低下傾向が指摘される大学院を強化する計画「プロジェクトX」を、来夏をめ
どに策定する。「X」に大学卒業後の学習・研究年限は多様という意味を込め
た。

再生会議は今後、分科会や全体会議で1、2回協議した上で、中間報告をま
とめる方針だ。