『朝日新聞』2006年12月07日付 入試問題、大学間で共有 山梨大と山梨県外16大 山梨大(貫井英明学長)は08年度入試から、山梨県外の国公私立16大学と 過去の入試問題を共有し、自由に再使用できる協定を結ぶことを決めた。入試 問題をめぐっては、作成担当の教員が過去の問題と類似しないよう頭を悩ませ るあまり、受験生の学力を測る本来の趣旨から外れた奇妙な問題が出題され る例が指摘されている。山梨大入試課は「入試にふさわしい良問が増える効果 があるのではないか」と期待している。 山梨大を含む17大学がそれぞれ著作権を持つ過去の問題を共有、互いに再使 用できるようにするほか、問題の一部を変更して新しい問題を作ることも許可す る。17大学はあらかじめ受験生らに対し、入試要項や大学のウェブサイトで、過 去の問題を再利用することがあると「宣言」するという。 岐阜大の黒木登志夫学長が05年から、全国の大学に参加を呼びかけ始め、今 年10月に計17校で合意に至ったという。引き続き、全国の大学に参加を呼びか けるという。 17大学は山梨大のほかに、岐阜、お茶の水女子、名古屋市立、旭川医科、弘前、 岩手、秋田、山形、宇都宮、信州、静岡、滋賀医科、岐阜薬科、順天堂、桜美林、 日本医科の各大学。 山梨大でも例年5月ごろから、担当教授らが入試問題作成に知恵を絞り始める。 他大学の過去問題と一部でも似ていると、「盗用」との疑惑を招きかねないため、 担当教授らは類似の問題が過去になかったかを確認する作業に多くの労力を取 られているという。 山梨大入試課は「(過去問題の共有で)特色ある問題を練る作業の方に、労力を 振り向けられることを期待したい」としている。 受験生を指導する進学塾もおおむね歓迎ムードだ。「甲斐ゼミナール」の大島保 校長は「入試問題のための入試問題のような奇問はこれまで少なくなかった。受 験生のためには、過去の良問の再使用はよいことではないか」としている。 |