『毎日新聞』2006年12月6日付

島根大:がん専門医、育成へ 「薬物療法医」取得目指す /島根


◇来年度、大学院にコース

島根大はがんの専門医を育成する腫瘍(しゅよう)専門医育成コースを、07
年度に大学院に設置する。がん治療の知識などを体系的に学ぶほか、日本
臨床腫瘍学会が認定する「がん薬物療法専門医」の取得も目指す。同様の
コースを持つ大学院は少なく、山陰地方での人材育成に期待がかかる。【細
川貴代】

がん薬物療法専門医は、抗がん剤やホルモン剤などを使う治療法に詳しい医
師。日本臨床腫瘍学会が認定しており、緩和ケアや副作用にも適切に対応で
きるなど、高度な知識を求められる。現在、認定医は全国に47人いるが、県内
にはいない。

同コースでは外科、内科など各診療科の専門医資格の取得とともに、臨床腫
瘍学に必要な臨床技術の研修をし、がん薬物療法専門医の認定を目指す。

今年成立した国のがん対策基本法では、がん専門医の育成が盛り込まれた。
これを受け、文部科学省は07年度から新たにがんに詳しい医師や看護師ら
を養成する大学院などに補助金を出す事業を実施し、約16の拠点大学を指
定する予定だ。

国内には抗がん剤などに詳しい医師は少なく、多くは都会に集中している。
死の直前までがん治療の向上を訴えた出雲市の報道カメラマン、故佐藤均
さんも、がん専門医の育成を望んでいた。