『毎日新聞』兵庫版2006年12月5日付

教育基本法改正:「明確な理由ない」 参院特別委公聴会、慎重審議の声相次ぐ


◇神戸公聴会

教育基本法改正案を審議している参院特別委員会(中曽根弘文委員長)は4日、
神戸市中央区内で地方公聴会を開いた。意見を述べた教諭や学識経験者から
は「戦前教育に戻りかねない」「現行法を全面改正する明確な理由が示されてい
ない」などと慎重審議を求める声が相次いだ。【藤田剛】

公聴会は兵庫を含む新潟、長野、徳島の4県で実施。兵庫には同特別委の委員
9人(自民5人、民主2人、公明、共産各1人)が出席した。県立高校PTA連合会
副会長、太田勝之▽宝塚造形芸術大教授、桂正孝▽大阪府立箕面東高校教諭、
森本光展▽近畿大教授、土屋基規――の4氏が公述人として意見を述べた。

森本氏は「勤務した学校では在日コリアンの生徒が1割以上いた。『我が国と郷
土を愛する』という改正案の規定が、外国籍生徒のいじめや差別につながらない
よう注意すべきだ」と指摘した。土屋氏も「改正案は教育に対する国家の統制を強
める」と懸念。「内面の価値は生徒が自ら選んで身につけるもの。国が道徳を強制
するのはおかしい」と批判した。

一方、太田氏は家庭教育の重要性を強調。「生活にゆとりのない親が子どもにスト
レスをぶつける。ただ、国が家庭に介入するのは違和感がある」と話した。