『神戸新聞』2006年12月4日付

教基法改正案で公聴会 神戸


参院教育基本法特別委員会の地方公聴会が四日午前、神戸市内で開かれ、政府
、与党が今国会での成立を目指す教育基本法改正案について、県内外の教育関係
者四人が意見を述べた。四人とも改正案に「議論が尽くされていない」などと反対の
考えを示し、慎重な審議を求めた。

 地方公聴会は新潟、徳島、長野市でもあり、この日午前は神戸と新潟両市で開か
れた。

 改正案に盛り込まれた「愛国心」について、兵庫県立高等学校PTA連合会の太田
勝之副会長は「成長過程で自然と芽生える心。強制すべきではない」と強調。宝塚造
形芸術大学の桂正孝教授(学校教育学)は「愛国心は多様。思想の自由をうたう憲法
との関係で疑問が生じる」と指摘した。

 土屋基規・神戸大名誉教授(教育学)は「改正の経緯や理由が示されておらず、教育
への国の介入が進む恐れがある」とし、反対の立場を表明。大阪府立箕面東高校の森
本光展教諭は「改正は悪くないが、多文化共生の視点など現状を踏まえた内容に」と求
めた。

 こうした意見を受け、委員からは「教育行政はどうあるべきか」などの質問が出た。

 公聴会会場周辺では、教育基本法改正に反対する市民団体が、抗議デモを展開。「公
聴会は法案採決のための手続きにすぎない」などと訴えた。