『しんぶん赤旗』2006年12月1日付 教育基本法改悪法案 文科省担当部署の「やらせ」関与 大義なし さらに鮮明 「やらせ質問」に教育基本法改定担当部署が直接関与していた―日本共産党の 井上哲士議員が三十日の質問で明らかにした事実は、あらためて政府の教育基 本法改悪法案の大義のなさを浮き彫りにしました。 与党の事務局 「教育改革官室」は文部科学省の教育基本法改定担当部署として二〇〇〇年に 発足しました。〇四年八月「教育改革推進室」に改組され、〇六年五月「教育基本 法改正プロジェクトチーム」に変わりました。井上氏の追及に文科省は、一連の部 署が改悪法案を作った与党協議会・検討会の事務局だったこと、やらせ質問があっ た〇四年までの教育改革タウンミーティングを担当したことも認めました。 井上氏は、これらの担当部署が「やらせ質問」にも深くかかわっていたことを事実 で示しました。 一つは、〇四年十一月に大分(別府)で開催した際のメールです。教育改革推進 室の担当者が、開催三日前に「○○さま 遅くなりましたが、TM大分の質問案を つくりました。よろしくお願いします」というメールを送っていました。二十九日に内 閣府が提出した資料の一つです。井上氏は「教育改革推進室がまさにタウンミー ティングのやらせ質問案を作っていたのではないか」とただしました。 「文科省から」 もう一つは、〇三年十二月の岐阜での開催について、岐阜県教育委員会が党県 委員会の質問に答えた回答です。同県教委は「文部科学省から、当時の学校政 策課長(文科省からの出向者)に対して、質問文案が送られ」てきたと回答してい ます。井上氏は「文科省ぐるみではないか」と批判しました。 教育改革官室―教育改革推進室―教育基本法改正プロジェクトチームの責任者 は生涯学習政策局長です。 岐阜開催時の生涯学習政策局長は現在の銭谷真美初等中等教育局長。井上氏 は銭谷局長に、「当時の局長として、岐阜での発言依頼を承知していたのかどうか 」とただしました。答弁に立ったのは文科省の金森越也総括審議官。「慎重に調査 中。特定の個人がどうだということは差し控えさせていただきたい」と答弁。井上氏 の再度の追及にやっと答弁に立った銭谷局長は「総括審議官の方にきいてほしい」 と逃げました。 伊吹文明文科相は「彼は知らなかったと思う」と局長をかばいつつ「知らなかったこ とが役人の組織としては非常に問題と思う」と答弁しました。 文科省の中枢幹部が「やらせ質問」にかかわっていたのかどうか徹底解明が必要 です。 井上氏は「真相と責任の解明は法案審議の前提だ」ときびしく批判しました。 (北村隆志) |