『東京新聞』2006年11月26日付

タウンミーティング 過剰経費ごろごろ
内閣府『水増し』調査へ


「やらせ質問」が問題となった政府主催の教育改革タウンミーティング(TM)
で、過剰な運営スタッフが契約上、雇用されていたことが二十五日、内閣府
の資料で明らかになった。スタッフ数が参加者の三割超に当たるケースも
あった。内閣府は突出したケースについて、経費の水増しの有無などを調
査する方針だ。

スタッフが参加者の三割を超えたのは、二〇〇四年十月の和歌山市(参
加者三百五十四人)の百十人、同年十一月の大分県別府市(同三百十
二人)の百七人、〇五年六月の静岡市(同三百四十人)の百八人。過剰
な要員配置が、計七回の教育改革TM(資料がない〇六年九月の青森
県八戸市を除く)の一回当たり平均経費約九百六十万円という「高コス
ト」につながったといえそうだ。

静岡市のTMでは、閣僚一人、有識者二人の計三人の登壇者に対し、
送迎用ハイヤー(一台当たり費用三万円)を契約上十五台使用してい
たことも分かった。ほかの六回は六−四台しか使っていなかった。

TM運営については、内閣府が想定する参加者や作業内容を示し、大
手広告代理店が一回当たり経費を入札して契約。契約した代理店は、
入札時に設定した「会場整理」など百数十項目の単価に、当日の作業
人数をかけて最終的請求額を決めた。

■京大でも動員

京都市で二〇〇二年十一月に内閣府と京都大が開いた「大学発タウ
ンミーティング」で、内閣府が開催前に大臣への想定問答を作り、京大
に「やらせ質問」を頼んでいたことが二十五日、分かった。

京大は、質問者に教授を選び内閣府に連絡。当日は、教授が想定問答
の通りの質問をしていた。

テーマは産学官連携などで、細田博之・科学技術政策担当相(当時)や
長尾真・京大学長(同)らが出席した。

会場から教授が「ベンチャー企業の創出と育成は日本経済の活性化に
とって必要だと思うが、政府としてどのような取り組みを行っているのか」
と質問した。

京大によると、〇二年十月二十五日に、内閣府からの依頼で教授を決定。
三十日に三種類の想定問答から一つを選び内閣府に提出した。

また内閣府は京大に「参加者数が芳しくない」と九十人ほどの参加者リスト
を要望。京大は二十五人分のリストを提出したという。

京都大は「当時の担当者がいないので詳細は記録でしか分からない」と話
している。