『毎日新聞』大分版2006年11月24日付

教育基本法改正:国介入に危機感 大分市でシンポジウム−−300人が参加


◇保護者の声「不当な支配」に?

参院特別委員会で実質審議入りした「教育基本法改正案」を考えるシンポジウ
ム「どうなる日本と大分の教育」が23日、大分市の県教育会館であった。革新
系団体などで作る実行委の主催で、約300人が参加。法改定で教育への国家
権力の介入が可能になるとして、法案の廃案を求めた。【梅山崇】

基調講演した全日本教職員組合の山口隆・副委員長は「改正」案が「我が国や
郷土を愛する」態度を養うことを「教育の目標」として盛り込んだことを問題視。
「法案は学校に目標達成義務を課しており愛国心の評価は不可欠になる。しか
し政府は『(評価付けは)とんでもない』と言う。論理が破たんしている」と批判し
た。

また現基本法の「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に
責任を負って行われるべきものである」という項目が「改正」案では「教育は、不
当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われ
るべきもの」と変えられた事に言及。「『不当な支配』の意味が180度変わった。
国家が教育内容に介入することを禁じているのが今の基本法だが、改定後は保
護者や教職員の声が『不当な支配』と見なされる。政府が法や通達で、いかよう
にも教育内容に介入できる」と指摘した。

この後シンポジウムを開催。江藤匡一・元県教組委員長は「法案は、現場に思考
停止、服従、あきらめを強いる」と断じ、かつて勤務評定や学力テスト導入で教育
現場の活力が失われていった様子を話した。

玉田義征・元三重町教育長は、旧大野郡の合併を引き合いに自身の「愛国心」
「愛郷心」を強調する一方で「法律に愛国心を盛り込むことを誰も願っていない。現
行法が悪いから心が育たないのではない」と批判した。また学校選択制を考える会
世話人の工藤康恵さんが、選択制導入を巡る大分市教委との交渉の内容を報告し
た。