『朝日新聞』2006年11月20日付 休職ママさん医師「再教育」 大学病院が復職支援策 出産や育児などで医療現場を離れた女性医師の復帰を支援する「再教育」に、 大学病院が取り組み始めた。産婦人科などの医師不足解消のため、休職中の 女性医師活用を目指す人材バンクが各地にできているが、「ブランクがあって最 新の医療技術についていけない」などの理由で、復職に結びつかない例が多い ためだ。大学側には、再教育した女性医師を、医師が足りない自らの病院で雇 用したいとの意向もある。 東京女子医大(東京都新宿区)は11月、女性医師再教育センターを開設した。 診療経験が2年以上あることが条件で、すでに2人の内科医から応募があった。 研修期間は半年〜1年を想定、登録料1万円以外は無料で研修が受けられる。 対象は外科や小児科など全科で、松山市や鹿児島市の協力病院でも研修でき る。研修内容は各自の希望による「オーダーメード」方式。現場ですぐに使える上 手な採血法や内視鏡検査技術などの技術を学ぶ。 同大が卒業生の女性医師約500人を調べたところ、卒業から3年目までは9割が 常勤勤務だが、それ以降は5〜6割。副センター長の川上順子教授は「再就職しな がら『勘』を取り戻すのは大変で、再教育の場が必要だ」と話す。 信州大(長野県松本市)も10月から女性医師の再教育プログラムを開始。信州大 病院や関連病院で研修する。担当の片井みゆき医師は「病児保育なども実施し、 働き続けられる職場環境を作るのが最終目標」という。 山形大(山形市)は来年度から、定年医師の再訓練と併せ、女性医師の再教育を 実施する。終了後は大学病院の勤務や、地域医療への貢献を期待している。 |