『埼玉新聞』2006年11月20日付

研究費捻出へ募金活動
5年間で5億円目標
埼玉大学


埼玉大学(田隅三生学長、さいたま市桜区)は十九日までに、研究費や奨学金
を捻出(ねんしゅつ)するために五年間で五億円を目標とした「埼玉大学発展基
金」を設立、一般からの募金活動を始めたと発表した。

「社会の中核となる人材の育成」につなげたい考えだが、広く寄付を集める背景
には国立大学法人への移行に伴う交付金の減額など、苦しい台所事情もうかが
える。

基金は▽教育活動の活性化▽キャンパス内の美化▽学生の課外活動の支援▽
学生や教職員の国際交流―といった事業に活用する。具体的には、入学志願者
を増やし優秀な学生を確保するための奨学金、県内企業と連携し共同研究を行う
ための費用などを見据えている。

埼玉大は二〇〇四年から同法人化した。例年の収入は文部科学省からの運営費
交付金六十五億円と授業料五十一億円などの計約百三十億円。このうち運営費
交付金は文科省が毎年1%ずつ減額する方針を打ち出している。少子化が進めば、
授業料の減少も予想されるという。

一方で支出は収入とほぼ同規模といい、田隅学長は「年々減っていく交付金をカバー
する方策が必要だった」と説明。中山重蔵副学長は「企業や団体、篤志家に頭を下
げて回りたい」と話す。

募金は一口一万円だが、それ以下の額も受け付ける。現金のほか株式、物品の寄
付もできる。大口の寄付をした個人には、教室に当事者の名前が付くなどの特典が
ある。既に十月下旬から募集を始め、十六日までに約二百件、一千万円近い寄付が
あった。

問い合わせは、同基金事務局(電話048・858・3894)へ