毎日新聞大分版2006年11月20日付

集会:「9条を守ろう」 県内の護憲団体など結集、国民投票や教基法にも言及


「憲法九条と平和を守る大分県民集会」が19日、大分市の県立芸術会館で開
かれ約650人が参加した。県内各地の護憲団体などで作る「憲法改悪反対県
民集会実行委員会」が主催。作家の大江健三郎さんや井上ひさしさんらの呼び
かけで04年に結成された「九条の会」事務局担当の高田健さんと、命の尊厳
をテーマに活動している在日韓国人2世の作家、朴(パク)慶南(キョンナム)
さんが講演した。【藤原弘】

高田さんは「九条が、この国を守ってきた」と題し、国会で審議中の改憲手続
きを定める国民投票法案に言及。「全国には5600〜5700の九条の会が
でき、憲法9条を守れという運動は盛り上がってきている。もっと多様な思想、
信条を超え、互いの顔が見えるネットワークをさらに広げれば、国民投票でも
負けない」と主張した。

また教育基本法改正案が衆院を通過したことにも触れ「いじめなど問題が山積
する中での強行採決。安倍内閣が追い詰められていることを示している」と話
した。

朴さんは「私以上でもなく、私以下でもない私〜戦争・暴力・差別から命の尊
厳を取り戻そう」と題して講演。関東大震災(1923年)で多くの朝鮮人が
殺害されたことなどを例に挙げながら「人が人を踏みにじるのが差別。誰もが
生き生きと生きられる社会を足元から作る必要がある」と訴えた。

講演後、運動をさらに広げ県民へ共同行動を呼びかけるとする集会アピールを
採択。戦争放棄を定めた9条を守り抜く思いを新たにした。実行委員長の岡村
正淳弁護士は「集会を機に、さらに幅広い人たちが参加できるイベントを考え
たい」と話した。