『北海道新聞』2006年11月17日付

教育基本法改正に反対 北星女子中3生、首相に意見書


十六日、衆院本会議で可決された教育基本法改正案について、北星学園女子中高
(浅里慎也校長、札幌市中央区)の中学三年生が同日、改正反対を訴える安倍晋三
首相あての意見書を送った。同校は現行の教育基本法をつくったメンバーの一人、
河井道(一八七七−一九五三年)の母校で、生徒たちは「先輩がつくった基本法の
精神を曲げないで」と訴えている。

意見書はA4サイズで四枚。教育の目標として「我が国と郷土を愛する態度を養
う」ことを掲げた改正案について、「国を愛する心は人それぞれが自分から思うもの
であって、おしつけられるものではない」と指摘。安倍首相に「本当に私たちの将来
のことを考えてくれていますか? 返答をください」と求めた。

社会科で教育勅語について学んだのがきっかけ。改正案で「愛国心」が重視されて
いることを知った三年生一クラスの二十七人が「戦前のように心が強制されるのは
嫌」と相談。連名で意見書を作成し、安倍首相のほか各党、扇千景参院議長にファ
クスで送った。

改正案に反対する声は学校全体に広がり、中学では署名活動も行い、高校も意見書
を作成したほか、一人ずつ反対意見を記したカードも募集した。十七日にも安倍首相
や伊吹文明文部科学相などに郵送する。

高校三年の生徒は「国にとって好ましくない人物というだけで、仕事などに影響が
出るのは怖い」と訴える。意見書を送ったクラス担任の北野聡子教諭(32)は「子
どもたちの行動力に驚いた。考える力が育っている証拠で、担任として誇りに思う」
と話している。