『毎日新聞』大分版2006年11月14日付

教育基本法改正:賛否両論 地方公聴会、3人意見陳述


今国会で最大の焦点になっている教育基本法改正で、衆院特別委員会の地方公
聴会が13日、大分市であり、自民、民主、公明各党が推薦した3人が意見陳述し
た。井手口良一・大分市議が「拙速な改正論議に反対」との立場から発言する一
方、県高校PTA連合会の高橋正夫会長と元小学校長の清原今朝勝さんは家庭
教育の重要性などから教育基本法改正案を前向きに評価した。

衆院での審議が緊迫化する中、特別委の委員8人(自民3人、民主2人、公明、
社民、国民新党各1人)がこの日出席、約50人が傍聴した。委員による質疑応
答もあった。

井手口市議は「基本法は継続することが重要で、基本法を改正しなくても(他の)
法律改正で多くの問題に対応できる」と主張。清原さんは「教育基本法で変えて
いけないものと変えるものとを分けないといけない」とし、「虐待やいじめは家庭に
大きな問題があり、家庭教育が位置付けられたことに安どした」と政府案を評価。
高橋会長は「(改正案に)家庭教育が書き込まれ、地域や家庭が教育に取り組む
バックボーンになる」と期待した。

特別委は意見を整理し、15日の中央公聴会に臨む。中央公聴会後の衆院日程は
13日夕の段階では白紙だが、終了後の記者会見で稲葉大和委員(自民)は「16
日が衆院審議の出口だとか、強行採決するつもりはない」と話した。(地方公聴会
の概要は15日、大分面に掲載します)【藤原弘】

◇横断幕掲げ廃案訴える−−大分で県労連

地方公聴会開催に合わせ、県労連のメンバーら約10人が13日、大分市中心部
の街頭に立ち、「教育基本法を変えないで」「改悪は許さない」などとする横断幕
を掲げ、法案の廃案を訴えた。

児玉圭史・県労連事務局長は「いじめを苦にした自殺や、タウンミーティングの
『やらせ質問』など、これだけの教育問題がある中で、慎重審議を求める声が圧
倒的だと思う。採決を前提にした地方公聴会には反対だ」と話した。