再度,教授会決議の可能性を

佐賀大学の豊島です.

教育基本法の問題で教授会が決議することは困難と思われているよ
うですが,ほんとにそうでしょうか?少なくとも“論理的”には容
易いことのように思われます.というのは,提案している政府が,
現行の教基法のどこが悪いのかについて,具体的には全く一言も説
明していないからです.つまり提案の最も重要な根拠が存在しない
のです.

理系の学部では特に,「よく分からない」という反応が多いと思わ
れますが,実はそのこと自体が決議の根拠になるといいうことです.
つまり,政府が現行法の欠陥をひとことも言っていないのだから「分
かる」はずがないのです.(この場合,提案者に一方的に「説明責
任」があるのであって,われわれがそれを推測したり,捜しまわっ
たり,まして「勉強」したりする義務はありません.)

その,「わけの分からない」提案に対してわれわれ関係者が沈黙す
れば,容認,つまり賛成と等価なのですから,反対を明言せざるを
得ないのです.要するに,「分からないものには反対する」と言う
論理で「十分」と思われます.のみならず,自分たちの職責に直接
関係する問題である以上,沈黙はその責任を全うすることにならな
いので,発言することが「必要」なのです.

このような論理,趣旨での決議に必要な「証拠」,つまり「提案の
根拠が示されていない」という証拠ははすべてネット上にあり* ,
わずか数百字の文書だけなのですから,出来の悪い学生のレポート
にバッテンを付ける程度の時間ですみます.いくら忙しいと言って
も,この重要な問題にそのくらいの時間は割けるし,割くべきでしょ
う.

すなわち,決議の主文は次のような簡単なもので十分で,審議の時
間もわずかで済むでしょう.
「教育基本法は、大学を含む教育の基本的な理念を規定する重要な
法律であり、現行法の不備について国民の合意がないまま改正を強
行すべきではない。」


* 「提案の根拠が示されていない」証拠
1)法案附属文書
 http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/06042712/004.pdf
2)文部科学省パンフレット
「基本法をなぜ今、改正するのか」
 http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/houan/siryo/setsumei.pdf
3)国会での文部科学大臣の提案理由説明
 http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/houan/siryo/riyuu.htm

何れも文部科学省の次のページにあります.このページ以外をわれ
われの側が探索する義務はありません.
http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/houan/siryo/riyuu.htm

豊島耕一
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