共同通信配信記事 2006年11月9日付

教基法改正の賛否分かれる
衆院特別委の参考人質疑


衆院教育基本法特別委員会は9日午前、政府の教育再生会議の池田守男座長代
理ら有識者4氏を招き、教育基本法改正をめぐる参考人質疑を行った。池田氏ら2人
が政府案の早期成立を求めたのに対し、教育評論家の尾木直樹氏らは慎重審議を
求めた。

池田氏は「戦後、物質的豊かさの一方で日本人の美徳が失われた。国造りの中核
である教育の再生こそ喫緊の課題」と強調。公共の精神や伝統と文化の尊重、家
庭教育などの条項を盛り込んだ政府案を評価した。

東京都品川区の若月秀夫教育長は「現行法で培われた理念を継続し、さらに今の
具体的な課題を視野に入れている」と政府案を評価。その上で「(児童、生徒に対
する教師の)強い指導が悪いかのような間違った教育観が戦後はびこった」と現行
法の問題点を指摘した。

尾木氏はいじめによる自殺問題などを例に挙げ「教育行政は機能不全に陥り、国家
的な危機だ」とした上で「現行法は子どもへの信頼感に満ち、国民に向けた教育権
になっているが、政府案では質が変わるのではないか」と法改正に疑問を呈した。

国際基督教大の藤田英典教授は「法改正の必要は全くない」と強調し、「改正の争
点や、政府案がはらむ問題点が国民に十分理解されているとは思えない。拙速に
無責任な決定はしないでほしい」と注文した。